コート・ド・ボーヌの南端、シャサーニュ・モンラッシェとピュリニー・モンラッシェに挟まれるように位置するサン・トーバンは、著名な評価を受ける隣村の陰に隠れがちながら、「ブルゴーニュ第4の白ワイン産地」と称されることもある実力派のアペラシオンです。石灰岩の急斜面に畑が広がり、村内の実に75%がプルミエ・クリュに格付けされています。
ドメーヌ・マルク・コラン・エ・セ・フィスは、このサン・トーバンを語る上で欠かせない存在です。マルク・コランは1944年生まれ。1970年代後半に妻ミシェルとともにドメーヌを創設し、コラン家とポナヴォワ家から受け継いだ畑を丁寧に引き継ぎました。中には一世紀以上前から家族の手で守られてきた区画もあります。1980〜90年代にかけて着実に規模を拡大し、現在は子どもたちのカロリーヌとダミアンが経営を引き継ぎ、サン・トーバン、シャサーニュ・モンラッシェ、ピュリニー・モンラッシェ、サントネイにまたがる12ヘクタール・26アペラシオンを擁するドメーヌへと成長しました。なお、長男ピエール=イヴは2005年に独立し「ドメーヌ・ピエール=イヴ・コラン・モレ」を、その後ジョゼフも独立し「ドメーヌ・ジョゼフ・コラン」を設立するなど、コラン家はサン・トーバンを牽引するブルゴーニュの名門家族として知られています。
年間生産量は約8万本、そのうち白ワインが90%を占めます。畑の管理は部分的にリュット・レゾネ(減農薬農法)を採用し、化学除草剤を使わない定期的な土壌耕作によってブドウの品質向上に取り組んでいます。白ワインは「純粋さ、エレガンス、長さの追求」を醸造哲学の根幹に置いています。
「ラ・シャトニエール」はサン・トーバン最高峰のプルミエ・クリュのひとつです。ガマイ村落の上方に広がるこの急斜面(傾斜は非常に急峻でトラクターの使用が困難なほど)は、薄い表土の下にすぐ石灰岩の母岩が顔を出す、排水性に優れたテロワール。石灰質と鉄分酸化物を含む土壌が、このクリュ特有の引き締まったミネラル感と活き活きとした緊張感を生み出します。ブルゴーニュの権威ジャスパー・モリスMWも「ラ・シャトニエール」を個人的なお気に入りとして挙げる、サン・トーバンを代表するクリマです。
2023年ヴィンテージはコート・ド・ボーヌ全域で「フレッシュさと豊かさを両立した均整の取れたミレジム」として高い評価を得ています。本ワインは伝統的なブルゴーニュの醸造手法に則り、シャルドネ100%をオーク樽で発酵・熟成し、繊細な旨みとふくらみをもたらす澱との接触(シュール・リー)によって複雑さを加えています。