サヴァールは、モンターニュ・ド・ランス西側の8つのプルミエ・クリュの村の ひとつ、エキュイユに所在するレコルタン・マニピュラン。1947年にわずか 0.2haの畑からその歴史がスタートし、最初に瓶詰めをしたのは1995年と比較 的まだ新しい造り手である。畑は現在エキュイユに3ha、隣接するヴィレール= オー=ヌードに1haの計4haを所有している。 2005年に家業を継いだ3代目フレデリックがドメーヌの指揮を取るようになっ てから品質が著しく向上し、今やフランス国内外から多くの注目が集まる期待 の星となっている。「ブルゴーニュの造り手が表現しているフィネス、深み、エ レガントさが大好き。シャルドネ・ピノノワールと同じ品種を栽培しながら、テロ ワールを表現するという意味では彼らは頭一つ抜きん出ている」と語る彼は 根っからのブルゴーニュ好き。フィネスや深みは畑仕事に由来すると考えてお り「可能な限り自然であること」を栽培のモットーとしている。そのため畑では 殺虫剤・除草剤を使用せずに畑の掘り起こしで栽培し、天敵の虫を使うことで 害虫駆除をしている。
一方、醸造に関しては良いと思うものには積極的に挑戦する姿勢があり、 父親ダニエルがステンレスタンクでのみ発酵を行っていたのに対し、新たに樽 発酵を取り入れキュヴェごとに異なるアプローチを実践。「父の造るシャンパ ンは美味しかったが味わいとしてシンプルだった。そこで厚みと複雑味を与え るために樽発酵も取り入れた」と語る。彼はブルゴーニュでもシャンパーニュ でも大切なのはミネラル・フィネス・エレガンスだと考えており、よりミネラルを 引き出すために以前よりもバトナージュの回数を減らしている。また、無濾過・ ノンフィルターでの瓶詰めといった改革も行った。 こうした試行錯誤を経て生み出されるシャンパンはIWC誌やWA誌で特に近 年高い評価を受けており、ワイン評論家のアントニオ・ガローニは「シャンパー ニュにおいて、これからくるであろう素晴らしいポテンシャルを持つ生産者を探 しているなら、サヴァールに注目すべき」と絶賛している。ガローニは数年に 渡りフレデリックの造る二次発酵前のベースワインを樽から試飲しているが近 年のそのレベルの高さに興奮しておりシャンパーニュのトップ生産者になるに はそう遠くないとの言葉を残している。