若き天才醸造家、クリス・アルヘイト氏のワイナリーで、2011年にファースト・キュヴェ 「カルトロジー」をリリースするやいなや、瞬く間に国内外で高い評価を 受け、大変話題になりました。2018年には「Tim Atkin MW SA Special Report」で「ワインメイカーズ・オブ・ザ・イヤー」に選出され、常に最上級の1級に 格付けされており、今最も注目を浴びている醸造家のひとりです。クリスとスザーンのアルヘイト夫妻はワイナリー設立前に世界中の様々なワイナリーを訪 れた際、その土地ならではの個性を表現したワイン造りに感銘を受け、自分たちも故郷であるケープの土着品種を用いて、南アフリカのアイデンティティー を表現したワインを造ることを決意したそうです。そしてちょうどその頃、標高300メートル前後で海風や山おろしの吹く乾燥した区画に植えられている古樹 に出会い、残っていた記録を調べると、その区画には既に1656年にはシュナン・ブランとセミヨンが植えられていたことが判明し、ついに彼らはこの地で、 『白ワインに特化したワイン醸造家になる 』 ことを目標に定め、大きな一歩を踏み出しました。彼らがワインを造り始めてまだ10年余りですが、リリースする キュヴェには、拘り抜いた大地とその風土、そして品種の魅力がそのまま大切に丸ごとボトルに詰め込まれており、南アフリカ、西ケープ州、銘醸地ウォー カー・ベイの、その区画ならではの個性がしっかりと表現されています。
畑
本拠地はウォーカー・ベイにありますが、立地条件や冷涼さ、樹齢など、クリスの厳しい審美眼に叶った様々な地 域の栽培家と契約しています。畑はいずれも小区画で、南極大陸から流れる海流の影響を受けており、緯度の 割に冷涼な気候で、主に樹齢30年以上の古樹が植わっており、最も古い樹はなんと1936年に植樹されていま す。クリスはこのように希少な区画のブドウ樹を求めてワイナリーから400km近くも離れた畑に胸を躍らせながら 通うのだそうです。また、冷涼な環境に拘る理由は、ブドウに含まれる天然の高い酸が生み出す澄んだ味わいを 持つシュナン・ブランを収穫するためには、畑にとって大西洋からの冷涼な海風が吹き付けることが不可欠である と考えているからです。
醸造
クリスは、収穫時の酸度がマロラクティック発酵までの醸造過程に何よりも影響を及ぼすとの考えから、収穫日の 決定を非常に慎重に行います。収穫されたブドウはクリスが味見をしながら全房のまま慎重にプレスされ、低温 のタンクで24時間静置しますが、この間酵素やSO2などの添加物は一切加えません。それらを加えることはバク テリアの持つポテンシャルを崩し、発酵を妨げると考えるからです。 醸造において新樽は一切使用せず、全て厳選した古樽を用いています。