ケープタウンの北約50kmに広がるスワートランド地方。小麦畑と果樹園が広がる穀倉地帯として古くから知られるこの大地に、1941年に設立されたのがリーベック・ヴァレー・ワイン・カンパニー(リーベック・セラーズ)です。リーベック渓谷の生産者ファミリーたちが資源を持ち寄り共同で設立したこのワイナリーは、80年以上にわたりスワートランドのテロワールを守り続けてきた「スワートランドの番人(Guardians of the Swartland)」です。
ワイナリーが位置するリーベック・ヴァレーのテロワールを支配するのは、カステールベルフ山(Kasteelberg)の存在です。海抜60〜300メートルの山腹と麓に広がるブドウ畑は、太古の砂岩と頁岩が織り成す多様な土壌に根を張り、地中海性気候の影響を強く受けます。冬の降雨がヴァインに十分な休眠期を与え、夏は強い日差しと乾燥した熱気の中に西からの涼風が吹き込む。この理想的な条件が、収量を抑えた小粒のブドウを生み出し、凝縮した果実味と柔らかなタンニン、そして豊かな表情を持つワインへとつながります。
リーベック・ヴァレーはシラーズの産地として南アフリカ国内でも特別な評価を受けており、「シラーズ・カントリー」の異名を持ちます。スタイルを司るのはシニア・ワインメーカーのジャック・テロンを中心とするワインチームです。専任のビティカルチュリスト(栽培専門家)が生産者と緊密に連携し、テロワールの個性を最もよく引き出す区画とヴァリエタルの研究・開発を継続しています。ワイナリーはIPW(ワイン統合生産プログラム)の理念に基づく持続可能な農業を実践し、WWF南アフリカのBiodiversity & Wine Initiativeにも参加。スワートランド固有の植生「レノステルボス」の保護にも取り組んでいます。
2024年ヴィンテージは2月〜3月の収穫で、収量は12トン/ヘクタール。最適な熟度で収穫されたシラーズは温度管理されたステンレス・スチールタンクで発酵。「果実本来の風味をオークで隠したくない」という哲学のもと、3〜4回使用したフレンチ・オーク樽のみで熟成し、その後瓶内熟成を経てリリースされます。ブラックフルーツの豊かな層、温かなスパイスの香り、そして滑らかで余韻の長いフィニッシュが特徴です。